先日、田山花袋『蒲団』のノート5本を書いた。1

ノートを書いた後、『蒲団』は世の中でどのように読まれているのか?検索していた際に、辛酸なめ子先生のコラムを発見した。

辛酸なめ子の着物のけはひ 『蒲団・重右衛門の最後』田山花袋 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)自然主義文学の代表的作品で、私小説としても話題を集めた『蒲団』。高校時代の現国の授業で先生があらすじを説明し、気持ち悪いという声が上がったのを覚えています。 「語り合う胸の轟とどろき、相見る眼の光、その底には確かに凄まじい暴風(あらし...www.president.co.jp

まず、上記リンクをお読みいただきたい。『蒲団』のように、自分がすでに読んでそれなりに考えてきた作品の回を読むと、その読解の鋭さがよく分かり、いろいろと気づかされる。

このコラムは、『蒲団』だけではなく、さまざまな日本文学を取り上げている。着物を手掛かりに、物語の魅力を一枚のイラストに圧縮し、人物・階級・欲望・ジェンダー・時代風俗を読むという、なめ子先生の個性あふれる楽しい絵と文で綴る文学評論になっている。

たとえば『金色夜叉』を「大富豪に女を取られた学生が、その後ダークサイドに堕ちて高利貸になる」と読み替えたり、夏目漱石『虞美人草』の漢文調について「よくわからないながらも、美女ということは伝わってきます」と処理したりする。

辛酸なめ子の着物のけはひ 『金色夜叉』尾崎紅葉 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)『金色夜叉』尾崎紅葉 一高の学生、間(はざま)貫一とお宮は許婚(いいなずけ)であったが、銀行家の御曹司に見初められた彼女は親によって無理やり別れさせられてしまう。貫一は復讐のため高利貸となるが……。 『金色夜叉』は雅俗折衷文という現代人には...www.president.co.jp 辛酸なめ子の着物のけはひ 『虞美人草』夏目漱石 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)『虞美人草』夏目漱石 小野は、わがままで美しい藤尾と奥ゆか しい小夜子との間で……。職業作家・漱 石の第1作。 格調高い漢文調の文体が時々挿入され、緊張感を与えていて、小説の会話部分とのめりはりが利いています。とにかく文体の威圧感が半端な...www.president.co.jp

文学研究の用語に置き換えるのではなく、日本文学を現代人の感覚に引き寄せ、「この人、要するにこういう状態ですよね」と、一見身も蓋もない言葉に変換する。しかし、よく考えるとかなり本質を突いている。

もう少し調べてみた。

「七緒」はプレジデント社から出版されている着物の季刊誌で、『辛酸なめ子の着物のけはひ』は10年以上続く連載である。Web では、現在40本が公開されている。

ぜひ印刷物で欲しい!と思ってさらに調べてみたのだが、書籍化されていないようだ。まとまった批評や紹介記事もほとんど見当たらない。

なので、私が微力ながら紹介させていただく。

このコラムの良さを、うまく言葉で言い表せないので、

「このノートを書くために Obsidian でリンクカード機能を有するコミュニティ・プラグイン Auto Card Link Enhancedを導入し、Quartz5 には、これに対応するプラグインが存在しなかったので、quartz-auto-link-card-enhanced2というプラグインを一から作成した」

と言えば、私の本気度を信じていただけるだろうか?

下記リンクも是非お読みいただきたい。

辛酸なめ子の着物のけはひ 『生々流転』岡本かの子 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)芸者の見習いだった母と、物乞い出身で大学教授まで上り詰めた父の間に生まれた蝶子の、数奇な半生を描いた小説。 蝶子は自分の血統を憂えながらも、鋭い感受性で周りの人を観察しています。父の本邸に招かれると、本邸の正妻は、着物をつまんで「指先...www.president.co.jp 辛酸なめ子の着物のけはひ 『連舞』有吉佐和子 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)日本舞踊の名門、梶川流の師匠を母に持つ異父姉妹の秋子と千春。母の寿々は家元の妾(めかけ)で、千春は家元との間にできた娘です。家元の血を引き、踊りの申し子と賞賛される千春の陰で、才能が劣る秋子は無視される日々。「血筋と才能」が主題で、映画「国...www.president.co.jp 辛酸なめ子の着物のけはひ 『虹いくたび』川端康成 | 雑誌『七緒(nanaoh)~着物からはじまる暮らし~』の公式サイト(プレジデント社)京都から東京に向かう汽車の中、琵琶湖の向こう側に虹を見つけた麻子が、向かいの席の男性と虹について語る美しいシーンからはじまる物語。心が清らかで優しい麻子、恋人を戦争で亡くした百子(ももこ) 、京都の芸者の子である若子の三人は、母親の違う三...www.president.co.jp

最後に、このコラムを企画し、長年継続してきた『七緒』編集部にも敬意を表したい。

そして、ぜひ書籍化を望む。

脚注

  1. 田山花袋『蒲団』を読んでみた 01田山花袋『蒲団』を読んでみた 05

  2. hyodoarch/quartz-auto-link-card-enhanced: Auto Link Card Enhanced を quartz で表示させる。は、後で独立したノートにする予定です。昨日、初めて Codex を使い作成しました、というか作ってもらいました。Quartz5 をお使いの方は、ぜひお試しください。